きのう「モノの動き」を見ましたので、今回は「ヒトの動き」を見るべく、鉄道の状況を探ってみます。
○JR東日本
JR東日本の「鉄道営業収入」によると、2月までは前年同月比プラスで推移していましたが3月は72.4、4月は82.9と前年割れが続いています。
中でもヒドい落ち込みなのが中長距離(定期外)で、3月は57.9、4月は65.2となっています。中長距離とは100kmを超える部分なので旅行・帰省・出張がメインと考えられます。今は非常事態ですから、とてもじゃないが旅行どころじゃないという雰囲気なのでしょうか。
一方で在来線(定期)は4月に98.3とほぼ前年並み、近距離(定期外)も3月の73.5から4月は89.3まで回復しています。
○地下鉄
東京メトロが決算説明資料の中で推計した「震災の影響」によると、旅客運輸収入は前年同月比-13.1%。定期は-3.0%ですが、定期外は-20.1%と大幅に少なくなっています。ただ、JRに比べると落ち込みは少ないようです。都心部でのヒトの動きは回復が早かったのでしょうか。
○私鉄
住宅地と都心を結ぶ私鉄の場合はどうでしょうか。個人的にお世話になっている京王電鉄が発表した「東日本大震災発生後の影響について」によると、3月度の運輸収入は前年同月比-13.0%。定期が-2.5%、定期外が-20.2%と東京メトロとほぼ同様の落ち込み具合を示しています。
興味深いのが輸送人員と収入の関係です。いずれも定期外ですが、東京メトロは輸送人員が-19.6%で収入は-20.1%。京王電鉄も、輸送人員が-19.2%で収入は-20.2%。両社とも、収入の方が落ち込みが激しい=単価が下がった=短距離で済ます人が多かったことになります。
たとえば京王線で言えば高尾山に山登りに行ったり南大沢のアウトレットモールに買い物に行ったり、逆に郊外の人が新宿や渋谷など都心に出たり、といった遠出の需要が下がったことがうかがえます。
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