「iTunes Music Store」が日本上陸、いよいよネット音楽配信定着か?

本日8月4日、アップルコンピュータは日本向けの有料音楽配信サービス「iTunes Music Store(iTMS)」を開始したと発表しました。

販売価格は1曲150円がベースで、提供楽曲の一部(10%程度)は200円で販売されます。国内15のレコード会社が楽曲を提供しますが、ソニー・ミュージックエンタテインメントなど一部レコード会社の楽曲提供は見送られました。

■既存サービスに見られる「使い勝手の悪さ」を排除、CD-Rへの書き込みも一律OK

今回のiTMS、提供される楽曲が邦楽・洋楽含めてトータル100万タイトルというボリュームの大きさもさることながら、最もインパクトが大きいと見られるのが「使い勝手」。

著作権管理のスキームは、既にサービスインしている米国などと同様となっているため「個人利用目的であれば、何枚でもCDを作成でき、台数無制限のiPod、最大5台のMac、Windows PCで再生」(同社サイトより)が可能となっています。

既に国内で事業展開を行っている他の音楽配信事業者も、CD-Rへの書き込みやデジタルオーディオプレーヤーへの転送が可能な状態にはなっていました。

しかし、CD-Rへの書き込みはエイベックスネットワークや東芝EMIなど一部に限られ、基準がまちまちとなっていました。

そのため、1曲ごとに転送回数等を把握しておく必要があるなど、ユーザーにとっては使い勝手がよいものではありませんでした。

また、根本的な問題として、デジタルオーディオプレーヤーで大きなシェアを持つ「iPod」シリーズへは、著作権管理等の理由から転送が許可されていない点も問題となっていました。

今回のiTMSは、どの楽曲も一律の著作権対応になっているとみられ、使い勝手の悪さを解消しようという意欲を感じさせるものとなっています。

■競合はやはり「ケータイ」と「レンタル」、購入スタイルとして定着なるか

利用者の立場を踏まえ、充実したサービス内容での展開となったiTMSですが、課題がないわけではありません。

課題としてまず挙げられるのは、

・ソニー・ミュージックエンタテインメントなど豊富なコンテンツを持つ事業者が不参加となった
・クレジットカードでの支払いが基本で、不所持者にとっては敷居が高い(Apple Storeや一部量販店で販売されている「iTunes Music Card」での支払いは可能)

などでしょうか。

また、国内ではパソコン向けよりも携帯電話向けの音楽配信市場の拡大がいちじるしい点も挙げられます。今後、携帯電話の開発競争の中で、デジタルオーディオプレーヤー並みの機能が付加されることも十分考えられ、携帯電話への対応も急がれます。

さらに、競合相手として最も大きいと思われるのが「CDレンタル」の存在。数百円でアルバムがレンタルできてしまうという現状を考えると、1曲150円という価格にそれほど魅力性があるとは言いにくい状況です。

レンタルショップ大手の「TSUTAYA」の関連会社が手掛けているインターネット専門の宅配DVDレンタルショップ「TSUTAYA DISCAS」は、店舗でのレンタル価格に準じた価格体系での音楽CDの宅配レンタルの検討を行っているとの報道もなされています(「日経MJ」8月3日より)。

8万人の会員を有する同サービスでは、既にGLAYや宇多田ヒカル、氣志團など一部の音楽DVDをレンタルサービスで提供しており、「音楽」コンテンツの提供形態・流通経路は今後も拡大することが見込まれます。

このような中で、iTMSが購入スタイルとして定着するのか、今後の動向に期待・注目したいところです。
(08/04)
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