Artist Clip

アーティストからの悲痛な叫び…、BONNIE PINKが新作アルバム“CCCD化”でコメント

BONNIE PINK
「Present」
(アルバム)



椎名林檎
「茎(STEM)〜大名遊ビ編〜」(初回盤)
(シングル)

⇒通常盤はこちらから



小島麻由美
「愛のポルターガイスト」
(アルバム)
◆「私も胸が痛いです。」という、BONNIE PINKの悲痛な叫び

レコード会社各社が2002年から本格導入を開始したコピーコントロールCD(CCCD)。CCCDとは、パソコンへの楽曲取り込みを防止するための技術を搭載したCDのことで、その副作用でカーオーディオや一部のパソコンなどでは聴くことができないことが問題になっているもの。

その割に、肝心の「コピー防止」の部分は、多くのパソコンで楽曲取り込みが通常のCDと同様できてしまうという、いろんな意味で“欠陥”を持っているのだが、2003年に入って、残念ながら導入を開始する作品数が急増しています。

このような状況下で、アーティスト側からは悲痛な叫びも漏れ伝わってきました。例えば、オリジナル・アルバムとしては約1年半ぶりとなる「Present」を、2月19日にリリースしたBONNIE PINK。発売日にオフィシャルサイトの「VOICE」ページにて、「今回、メーカーの意向により、このアルバムがCCCDという形態でリリースされることにもちろん抵抗はありました」としながらも、音質を確認し、納得した上でCDリリースに踏み切った経緯をコメントしています。

一読していただけると分かるのですが、コメント自体は、「私も胸が痛いです。」という9文字に彼女の本音が凝縮されているとも読みとれる内容になっています。

例をあげたらきりがないが、矢井田瞳のプロデューサーとして知られる片岡大志も、オフィシャルサイト上で「これから先、コピーガードされたCDの音を聴いて育った世代のリスナーは不幸だ。「元々、そんなもんでしょ」なんて程度の感性しか持ちあわせることが出来ないのだ」とコメントしている。


◆ アーティスト側に対抗手段はないのか?

では、アーティスト側に対抗手段はないのでしょうか。

例えば、宇多田ヒカルの父・宇多田照實は、宇多田ヒカルオフィシャルサイト上で通常のCDとしてリリースすることを発表(ここここ)、また山下達郎はラジオ番組の中で「山下達郎がCCCDをやるわけないじゃないですか」という発言をしています。ただ、このようにアーティスト側がCCCDについて主導権を握れるのは大御所やヒット・アーティストのごく一部に限られるのが現状です。

特に、アーティストが所属する事務所とレコード会社がグループ企業になっていて、そのレコード会社がCCCDを強力に推し進めているようなケースでは、よほどのことがなければどうあがいても無理とならざるを得ないと考えられます。

ただ、ささやかな抵抗は着実に行われています。その一例が「CD-EXTRA仕様」へのシフトです。

1月22日にリリースされた椎名林檎の復帰作「茎(STEM)〜大名遊ビ編〜」。初回盤はCD-EXTRA<藝裏「百色眼鏡」>仕様になっており、CCCDではないものの、通常盤はしっかりCCCDになっています。

CD-EXTRAの場合、技術的な側面からCCCDにできないこともあり、これが抜け道として使われるケースが多いようです。

もちろん、上記の例に出した椎名林檎が本当にCCCD対策でCD-EXTRA仕様にしたかどうか、その真相は藪の中ですが、CD-EXTRA仕様の作品数がここのところ増えているように感じており、ささやかな抵抗を試みるケースは少なからずあると考えられます。

一方、ファンが一致団結してCCCDを阻止する例もあります。小島麻由美は最新アルバム「愛のポルターガイスト」を普通のCDでリリースしていますが、オフィシャルサイト上ではCDのロゴマークまで表示して「通常CD仕様」であることを強調しています。これは、当初CCCDにて発売するとアナウンスされ、ファンからの「反対」の声がもとで通常CDになったという経緯があるためです。


◆ 違法コピーで売上減少? ミュージックシーンが正常化しただけでは…

ただ、通常のCDを「通常CD仕様」といちいち表現しなくてはならないまで、事態が進んでいることをあらわしていると言えそうです。

このように、アーティストやユーザーがかなり気にしているCCCD。テイトウワがオフィシャルサイト上でコメントしているように、「コピコンCDは、デザインぶちこわしだし、自分には明らかに少し音質悪いけど」「コピコンCDがレコ−ド売り上げを活性化してくれるなら全然嬉しいです」というのは、著作権保護がよい形で進むのなら、方向性は間違っていないという意味なのではないでしょうか。

では、本当にCCCDを導入したことで売上が伸びたのでしょうか。違法コピーだけが、ミュージックシーンの不振の要因なのでしょうか。ミリオン作品が連発した1990年代後半から2000年にかけてがバブルともいうべき異常な状況で、現在の売上は「不振」ではなく、ミュージックシーンが「正常」に戻りつつあるだけなのではないでしょうか…。

「CCCDだったら購入しない」というユーザーが31%おり、購入しないユーザーのうち36%は「(レンタルなどもせず)あきらめる」という調査結果もあるほどで、CCCDによる著作権保護が売上に結びついているのか、レコード会社側はデータで明らかにして欲しいものです。



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