KARAO's Web Special
「増えに増えたベストアルバム」
〜「シングルからベスト盤へ」ユーザーのシフトが進んだ?
2001/07/16掲載

◆ ミリオンヒットが出ない!?
携帯電話への出費がかさんだので、その分購入するCDが「売れ筋」だけに絞りこまれるようになった…

シングルの売上に関してはよく、上のような解説文とセットになって「一極集中現象」が起きていると言われていました。

「一極集中現象」というのは、大ヒットしている作品は100万枚を軽く突破する一方、売れない作品はほとんど売れず、売れるか売れないかがはっきりして「そこそこのヒット」が非常に少なくなる現象として捉えられていたものです。

しかし、今まで当たり前のように語られていた、この「一極集中現象」が異変を起こしています。
◆ ベスト盤大盛況の裏で進む「シングル大不振」
まずカラオは、一極集中の鍵を握る、100万枚突破作品数の推移を追ってみました。
▼ 「100万枚突破」作品数
作品数
1999年13作品
2000年15作品
2001年2作品
(99/00年は年間ランキング、01年は上半期ランキングより)

上の表は、カラオのデータによる「100万枚突破」作品の数をまとめたものです。今年の場合、上半期時点ですから単純比較は難しいですが、それにしても100万枚を突破する作品が激減しているのがおわかりいただけるのではないでしょうか。

今年のミリオン作品は、宇多田ヒカル「Can You Keep A Secret?」(150.1万枚)とCHEMISTRY「PIECES OF A DREAM」(108.0万枚)のたったの2作品。90万枚台も2作品、80万枚台も3作品にとどまっています。

この数字からは「一極集中」という印象はなく、極端に言えば「総崩れ」に近い状態になっているのかも…、と思わせるような結果になっています。
◆ 「シングルからベスト盤へ」ユーザーのシフトが進んだ?
ではなぜここにきてシングルが売れなくなったのでしょうか。その鍵を握るのは、実は「ベスト盤」なのではないでしょうか。 つまり、シングルからベスト盤へユーザーがシフトをしたと考えられます。

もともとシングルの一極集中が起きたのは「CDの購入に充てるお金が減った」ので「売れ筋だけ」購入しようという動機からでした。 そうやってシングルを買っていたのが、ベスト盤がどんどんリリースされてしまったことで「シングルは買わず、ベスト盤まで待とう」という流れになったのではないでしょうか。

LOVE PSYCHEDELICOや鬼束ちひろ、shelaなどの1stアルバムが好調なのも、裏を返せば「ベスト盤までは待てない」という関心の高さと「まだベスト盤は出ないだろう」という意識が加わっての大ヒットになったのかもしれません。
◆ シングルが売れていればベストも売れる?
「シングルからのシフト」という観点で見ると、シングルがそれほど売れていなくても、ベスト盤は好調というケースも大いにありえますね。

特に、ベスト盤の場合「お得さ」の強調が売れ行きに結びつくと思われ、収録曲の売上うんぬんより「印象に残っている」「シングルは買わなかったけど、いい曲だったよな」といった、ユーザーの中でなじみのある曲を豊富に収録していた方が結果的にセールスにつながる場合もあるのではないでしょうか。

次回はベスト盤特集の最終回。最後を飾るのは、音楽誌では見れない「ベスト盤 リリースしそうなアーティストランキング」を大発表しちゃいます。データを駆使して集計した「もうすぐ出しそうなアーティスト」とは? お楽しみに。
written by noriaki amano.
上記内容はすべて掲載時点でのものです。
(ご意見ご感想などはタイトル明記の上websp@karao.comまで)


HOMEKARAO's Web Special top Weekly KARAO